
完成工事原価報告書の作り方|4区分を工事台帳から集計【2026年版】
完成工事原価報告書の作り方|4区分を工事台帳から集計【2026年版】
完成工事原価報告書は、完成した工事の原価を材料費・労務費・外注費・経費の4区分で示す書類です。作成時は、工事台帳から完成工事だけを抽出し、区分ごとに集計して、4区分合計、工事台帳合計、会計残高を照合します。
提出様式だけを年末に整えても、工事番号や証拠資料が日常管理で分かれていなければ正確な集計は困難です。この記事では完成・未完成の確認、材料費から経費までの集計、共通費の配賦、月次から年次へつなぐ方法を解説します。個別の科目区分や会計判断は税理士などへ確認してください。
集計の入口では対象期間と完成工事の一覧を固定し、出口では報告書、工事台帳、会計の合計をそろえます。途中の修正も工事番号単位で履歴を残せば、決算後の問い合わせへ根拠を示しやすくなります。
完成工事原価報告書は完成工事の原価内訳を示す

材料費・労務費・外注費・経費の4区分で報告する
材料費は工事に使用した材料、労務費は工事に従事した自社の労務、外注費は外部へ請け負わせた工事、経費はそのほか工事に対応する費用という4区分で整理します。ただし、具体的な支出がどの区分になるかは契約実態と自社の会計方針で決め、名称だけで機械的に分類しません。
| 4区分 | 典型的な確認対象 | 判断を保留して確認する例 | 主な確認資料 |
|---|---|---|---|
| 材料費 | 工事へ使用した主要材料・補助材料 | 在庫、複数工事の共通購入 | 発注書、納品書、払出記録、請求書 |
| 労務費 | 自社従業員の工事別労務 | 間接部門、複数工事の作業 | 出面、作業報告、社内集計 |
| 外注費 | 確定した外注工事の対価 | 労働者性の判断が必要な取引 | 注文書、注文請書、請求書、実績 |
| 経費 | 工事に直接対応するその他費用 | 共通費、機械・運搬の配賦 | 利用記録、運行記録、請求書 |
この表は一律の科目判定を示すものではなく、確認資料を集めるための整理です。完成工事高は売上、未成工事支出金は未完成工事の原価なので、完成工事原価報告書の4区分と混同しません。完成確認済みの対象範囲を先に固定します。

建設業財務諸表の様式と日々の原価資料は役割が違う
完成工事原価報告書は、建設業財務諸表として一定の形式で完成工事原価の内訳を示す最終的な報告資料です。一方、日々の工事台帳、発注・納品・請求資料、出面、作業報告は、その金額を工事別・区分別に説明する元資料です。提出様式へ直接請求書を並べるのではなく、中間の工事別集計を作ります。
この記事の範囲は、工務店が自社資料を整理し、報告書の根拠をそろえるところまでです。申請書類の最終的な作成責任、建設業財務諸表への組み替え、提出方法は、提出先の案内や専門家へ確認します。決算変更届の確認手順とは役割を分けます。
工事台帳から完成工事だけを抽出する
完成・未完成の区分を案件状態と証拠で確認する
まず基準日を決め、工事番号ごとに契約、工程、検査、引渡し、請求の状態を確認します。現場の作業が終わった表示だけで会計上も完成と判断せず、自社の会計方針と契約条件に沿って対象工事を確定します。判断に使った資料、確認日、確認者を一覧に残してください。
未完成工事の原価が混ざると、完成工事原価が過大になり、未成工事支出金との対応も崩れます。完成候補、未完成、判断確認中に分け、確認中を便宜的に完成へ入れません。完成後に追加請求が届く可能性もあるため、未着請求の有無と追加原価の扱いを経理担当と確認します。

材料費と労務費を工事番号ごとに集計する
材料費は、購入時点の請求書だけでなく、納品先、工事への払出し、返品、残材・在庫の扱いを確認します。一括購入を複数工事へ分ける場合は、数量、使用記録など配賦の根拠を残します。工事番号がない購入は現場担当へ確認し、推測だけで最も近い案件へ割り当てません。
労務費は、出面や作業報告を工事番号へ対応させ、自社方針で定めた範囲を集計します。同じ日に複数工事へ従事した場合は、作業時間・実績の記録に基づき分けます。給与計算そのものをこの記事で扱わず、労務費へ含める範囲や間接部門の扱いは会計方針と専門家の確認を前提にします。
外注費と経費を集計し、4区分を照合する
外注費は注文書・請求書・作業実績を突き合わせる
外注費は、注文書・注文請書、請求書、現場の作業実績を工事番号と工種で突き合わせます。契約額、変更額、出来高・完了状況が一致するかを確認し、請求書だけで別工事へ付け替えません。複数工事の一括請求は、明細や作業実績に基づいて配賦し、その資料と担当者を記録します。
一人親方や個人事業主という名称だけで外注費になるとは限りません。指揮監督、時間・場所の拘束、代替性、用具負担、報酬の性格など取引の実態を総合して別途判断し、確定した区分を集計します。原価報告書の作成時に都合よく取引区分を変えず、疑問があれば税理士等へ相談します。
経費は共通費と工事直接費の配賦根拠を残す
経費では、現場に直接対応する機械利用、運搬、現場経費などと、複数工事に関係する共通費を分けます。何を経費へ含めるか、共通費をどう配賦するかは自社の会計方針に従い、全国共通の一律科目だと断定しません。配賦基準は対象期間と工事へ一貫して適用します。
4区分の集計後は、材料費・労務費・外注費・経費の合計、完成工事の工事台帳合計、会計残高を三者照合します。差額があれば、完成・未完成の混在、工事番号漏れ、未着請求、配賦、重複計上の順に原因を確認し、差額だけを調整する処理は避けます。

月次の原価分類を決算書類へつながる形に整える
月ごとに4区分で持つと決算時の組み替えを減らせる
月次で、工事番号、工事状態、4区分、証拠資料、未着・確認事項をそろえます。請求書を受け取った時点だけでなく、発注、納品、出面、作業報告から工事との関係を確認します。月末に工事台帳と会計を照合していれば、年末は完成工事の抽出と期間集計を中心に進められます。
年末だけの一括分類では、担当者の記憶に頼り、工事番号漏れや二重計上を見つけにくくなります。建設業の原価管理と同じ4区分を使い、月次の修正理由も履歴に残します。過去月を直した場合は、年次集計へ反映されたか再確認します。

工務店HUBでは予算・発注実績・粗利の根拠を案件に集める
工務店HUBでは、案件別収支で原価予算、発注実績、粗利判定を確認し、発注書、請求書、作業報告など原価の元資料を案件へまとめられます。完成工事原価報告書を作成・出力するものではなく、工事別集計に必要な根拠を日常から探しやすくする使い方です。
工事状態、見積改訂版、工程、現場記録を同じ案件で参照し、カスタム項目へ会計確認日や4区分の確認状況を持たせます。工事台帳と同じ工事番号を用いることで、予算・発注実績と年次報告の元データをたどりやすくなります。
完成工事原価報告書についてよくある質問
完成工事原価報告書は誰が作成しますか
提出責任や社内の作成体制は会社によって異なりますが、正確な報告には工事担当、購買、経理が持つ工事別資料の照合が必要です。集計担当と確認者を分け、基準日と対象工事を共有します。申請書類の最終判断は提出先や行政書士・税理士などへ確認してください。
一人親方への支払いはすべて外注費ですか
いいえ。契約名称や相手が一人親方であることだけでは決まりません。指揮監督、時間・場所の拘束、仕事の代替性、材料・用具の負担、報酬の性格など取引実態を総合して判断します。専門家の確認を受け、確定した取引区分を原価報告書へ集計してください。
工事台帳の合計と会計の金額が合わない場合はどうしますか
未完成工事の混在、工事番号漏れ、未着請求、共通費配賦、重複計上、完成振替の時期を順番に確認します。差額を無理に合わせず、どの取引・工事で生じたかを特定し、修正の根拠、実施日、確認者を残してください。
まとめ|4区分を日常の工事台帳から整える
完成工事原価報告書は、完成した工事の原価を4区分で示します。完成・未完成を証拠で確認し、材料費、労務費、外注費、経費を工事番号で集計します。月次で工事台帳と会計を照合し、年次は対象工事を抽出して三者の合計を確認すると、決算時の組み替えを減らせます。
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