
日給月給の給与計算|建設業の残業・深夜割増と出面連携【2026年版】
日給月給制でも、実労働時間を出面・日報から集計し、法定外・休日・深夜を根拠別に分けて割増賃金を計算する必要があります。
計算を始める順番は、雇用契約・就業規則などで賃金条件を確定し、次に承認済みの始終業、休憩、休日、現場をそろえる流れです。そのうえで法定時間外、法定休日、深夜、月60時間超を区分すれば、人別給与の基礎と案件別労務原価を混同せず集計できます。
日給月給の給与計算で先に決めること

「日給月給」という呼び方から欠勤控除や残業単価を決めず、会社と本人の合意内容、社内規程、承認された労働時間を先に確認します。法定基準と会社独自の所定条件を別欄にすると、締め直前の解釈違いを減らせます。
日給月給は法定統一用語ではなく雇用条件が先
日給月給は法律上の統一定義がない呼称です。月額の基本給を定め、欠勤などを会社所定のルールで扱う形を指すことがありますが、呼称だけでは計算方法を確定できません。雇用契約書、労働条件通知書、就業規則、賃金規程の内容を本人ごとに確認します。
確認する項目は、基本給、所定労働日・時間、締日と支払日、休日の定め、欠勤・遅刻・早退の扱い、手当、適用する賃金規程の版です。雨天休工を欠勤と同じ扱いにするかも呼称から決められません。変更があった月は適用開始日を残し、旧版と新版を一つの締め期間で混ぜない運用が必要です。
| 呼称 | 一般的な賃金単位 | 欠勤等の扱い | 確認する文書 |
|---|---|---|---|
| 月給 | 月を単位とする | 契約・規程で確認 | 雇用契約、就業規則、賃金規程 |
| 日給月給 | 月額を定める例がある | 呼称だけで決めず個別確認 | 雇用契約、就業規則、賃金規程 |
| 日給 | 日を単位とする | 所定条件を確認 | 雇用契約、賃金規程 |
| 時給 | 時間を単位とする | 所定条件を確認 | 雇用契約、賃金規程 |
賃金支払・法定労働時間・割増率の基準
労働基準法第24条・第32条・第37条は、賃金支払の原則、法定労働時間、割増賃金をそれぞれ定めています。第24条による賃金支払の原則は、通貨払い、直接払い、全額払い、毎月1回以上、一定期日払いです。第32条の法定労働時間は、休憩を除き週40時間・1日8時間です。会社の所定労働時間がこれより短い場合、所定時間を超えた時間と法定時間外を同じ区分にしません。
時間外は25%以上、法定休日は35%以上、深夜は22時〜5時の労働に25%以上を加算します。1か月60時間を超える時間外は50%以上です。時間外と深夜などが重なる場合に備え、元の時刻と各区分を残します(出典:労働基準法第32条・第37条)。
| 区分 | 法定基準・下限率 | 台帳で残す判定 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 法定労働時間 | 週40時間・1日8時間 | 日累計と週累計 | 労働基準法第32条・第37条 |
| 時間外労働 | 25%以上 | 法定時間外の時間 | 労働基準法第32条・第37条 |
| 法定休日労働 | 35%以上 | 法定休日の指定と実績 | 労働基準法第32条・第37条 |
| 深夜労働 | 22時〜5時に25%以上加算 | 深夜帯と重複区分 | 労働基準法第32条・第37条 |
| 月60時間超の時間外 | 50%以上 | 月累計と超過部分 | 労働基準法第32条・第37条 |
工務店HUBの案件情報と作業記録を結び、給与担当へ渡す前の根拠を同じ形式でそろえると、確認の往復を減らせます。
出面・日報を給与計算の入力へ変える

出面の人工数だけでは、割増賃金の時間区分を判定できません。人と日を起点に始終業・休憩・現場・理由・承認を確定し、未確定行を給与計算へ流さない仕組みにします。
始終業・休憩・現場・承認を人日単位で確定
1人・1日ごとに、始業、終業、休憩、実労働時間、現場、作業内容、申請者、承認者、承認日時を記録します。複数現場へ入った日は、時刻または会社の配賦ルールに沿って行を分けます。出面表の作り方で人工をそろえ、工事日報の書き方で時刻と作業の根拠を補います。
修正前の値を上書きして消すと、給与明細と原価の差を説明できません。「申請中」「差戻し」「承認済み」「締め済み」を区別し、修正理由と承認履歴を残します。給与担当は締め日時点の承認済み行だけを集計し、現場責任者は未承認行を先に解消します。
雨天休工・欠勤・移動・待機を理由付きで保留解除
雨天休工、本人都合の欠勤、会社指示の休み、現場間移動、資材待ちなどは、見た目が同じ空白時間でも扱いが同じとは限りません。理由コード、会社の指示者、発生時刻、本人申告、判断根拠を残し、雇用条件と実態に照らして承認者が区分を確定します。
特に移動や待機が労働時間に当たるかは、名称ではなく指揮命令や行動の拘束など個別の状況を確認します。雨天だから自動的に欠勤控除、現場間移動だから一律に休憩と処理せず、判断待ちを「保留」として見える化します。新規入場者教育の書類の書き方に使う入場記録も本人・現場・日付の照合材料になります。
残業・法定休日・深夜を計算する手順

承認済みの実労働時間を、所定時間、法定時間外、法定休日、深夜へ順に分類します。結果だけでなく、日・週・月の累計と、どの条件で区分したかを保存することが重要です。
Step 1 日8時間・週40時間と休日を分類する
最初に始終業から休憩を除いた実労働時間を日ごとに確定し、1日8時間と週40時間の両方で法定時間外を判定します。会社所定の終業後であっても法定時間内の部分があれば、法定時間外とは別の「所定外」として扱います。変則的な勤務制度を採用している場合は、適用条件と対象者を確認します(出典:労働基準法第32条・第37条)。
休日は、就業規則や勤務表で法定休日とそれ以外の休日を識別します。「日曜日」「現場休工日」という表示だけでは法定休日と確定しません。日付、曜日、勤務予定、休日区分、振替などの決定記録をそろえ、法定休日35%以上を当てる対象を先に確定します(出典:労働基準法第32条・第37条)。
Step 2 時間外・休日・深夜・月60時間超の率を当てる
法定区分が確定したら、時間外25%以上、法定休日35%以上、深夜25%以上の加算を対応させます。深夜帯は22時から翌5時です。通常の時間外と深夜が重なれば25%+25%、法定休日と深夜なら35%+25%を加算するため、深夜の時間数を独立した列で保持します(出典:労働基準法第32条・第37条)。
さらに1か月の時間外を人別に累計し、60時間を超えた部分は50%以上の率で区分します。集計結果だけを入力すると、境界をまたいだ日や締め後修正を再判定できません。勤務日ごとの基礎行、月累計、適用率、賃金規程版を一緒に残し、承認後に給与計算へ渡します(出典:労働基準法第32条・第37条)。
Step 3 人別給与と案件別労務原価を別集計する
確定行は「人×日×案件×時間区分×賃金規程版×承認状態」の6キーで管理します。同じ人が同じ日に複数案件へ入った場合も、案件と時間区分ごとに分ければ、誰のどの勤務をどの規程で確定したかをたどれます。
人別給与は人×締め月、案件別労務原価は案件×日で別々に集計します。給与側は会社の賃金規程と法定割増に基づいて処理し、原価側は確定した労務費を定めた配賦ルールで案件へ集計します。一方の合計をもう一方へそのまま転記せず、未配賦や複数現場分を差異として確認します。
給与明細と工事別労務原価を照合する

給与確定後は、支給額だけを見るのではなく、承認済み時間、時間区分、案件配賦とのつながりを照合します。差が出た行をゼロに見せるより、理由と解消月を残すほうが翌月の再発防止につながります。
未配賦・締め後修正・承認履歴を差異管理する
照合表には、人、締め月、承認済み時間、時間外、法定休日、深夜、月60時間超、案件配賦済み時間、未配賦、修正状態を並べます。給与締め後に現場や時刻が訂正された場合は、元の承認記録を消さず、訂正理由、再承認者、反映する締め月を記録します。
建設業の原価管理へ渡すのは、案件別に確定した労務原価と差異です。給与明細との総額差には、案件未指定、共通作業、締め期間の違いなどの理由を付けます。差異を「未配賦」「翌月調整」「確認中」に分け、解消責任者と期限を決めれば、利益管理側で二重計上や欠落を見つけやすくなります。
給与計算ミスを防ぐ月次チェック

月次チェックは、賃金条件、勤怠の承認、法定区分、案件配賦、修正履歴の順で行います。安全記録など他の現場情報と日付を照合すると、出勤日や現場の入力違いにも気付きやすくなります。
工務店HUBで案件・作業記録・参照月を結ぶ
工務店HUBでは、案件のカスタム項目を使い、従業員、作業日、案件、時間区分、賃金規程版、承認状態、参照月を結ぶ運用例を作れます。給与計算そのものは、確定した記録を基に会社の規程と計算手順に従って行い、工務店HUBには現場側の根拠と確認状態を残します。
月末には、未承認、案件未指定、深夜帯、月60時間超の確認、締め後修正、未配賦を一覧で点検します。建設業の熱中症対策義務化の作業記録や労働者死傷病報告の電子申請に関係する発生日も照合し、作業日・現場・本人の不一致を確認します。ただし、安全衛生の記録と勤怠の承認は別の手続として、それぞれの確定状態を保持します。
現場の記録と給与担当の参照月を結ぶと、締め後に探し直す時間を減らせます。
まとめ|雇用条件と承認済み時間を分けて管理する
日給月給は法律上の統一定義がないため、まず雇用契約・就業規則・賃金規程から本人の条件を確定します。次に出面・日報の始終業、休憩、休日、現場を承認し、週40時間・1日8時間を基準に時間外、法定休日、22時〜5時の深夜、月60時間超を分けます(出典:労働基準法第32条・第37条)。
同じ確定行を6キーで保持し、人×締め月の給与基礎と案件×日の労務原価へ別集計することが要点です。未配賦、締め後修正、規程版、承認履歴まで残せば、給与明細と工事別原価の差を根拠から確認できます。
日給月給の給与計算のよくある質問
Q. 日給月給とはどのような給与形態ですか?
法律上の統一定義はありません。基本給、所定日・時間、欠勤等の扱いを雇用契約・就業規則等で確認します。
Q. 雨天休工日は必ず欠勤控除できますか?
「日給月給」という呼称だけでは判断できません。休みの理由、会社指示、雇用契約・就業規則、適用法令を個別に確認します。
Q. 残業・法定休日・深夜の割増率は?
時間外は25%以上、法定休日は35%以上、深夜は25%以上の加算です。月60時間超の時間外は50%以上です。 出典:労働基準法第32条・第37条
Q. 深夜は23時からですか?
原則22時から翌5時です。通常の時間外と深夜が重なれば25%+25%、法定休日と深夜なら35%+25%を加算します。 出典:労働基準法第32条・第37条
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