建設業の熱中症対策義務化|対象作業・措置・罰則【2026年版】
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建設業の熱中症対策義務化|対象作業・措置・罰則【2026年版】

2026年8月22日21分で読める

建設現場の熱中症対策では、対象作業を通達の基準で判定し、報告体制・対応手順・周知を事業場ごとに整える必要があります。労働安全衛生規則第612条の2は2025年6月1日に施行済みで、2026年時点では現行の義務です。

WBGT28度以上または気温31度以上、継続1時間以上または1日4時間を超えるという数値・時間は、厚生労働省通達(基発0520第6号)が示す対象作業の定義です。これらは省令本文の数値ではありません。本記事では、混在現場における元請と各協力会社の役割、疑い発生時の初動、罰則までを整理します。

熱中症対策義務の対象作業と必要な3措置

通達の数値と省令の3措置を分けた熱中症対象判定図
通達の数値と省令の3措置を分けた熱中症対象判定図

熱中症対策義務の対象となる作業では、事業者があらかじめ報告体制を整え、症状の悪化防止に必要な措置の内容と実施手順を作業場ごとに定め、それぞれを作業従事者へ周知します。数値による対象判定と、疑いが生じた後の行動を一つの判定にしないことが重要です。

確認事項内容根拠の位置づけ
暑熱な場所WBGT28度以上または気温31度以上厚生労働省通達(基発0520第6号)
予定時間継続1時間以上または1日4時間超厚生労働省通達(基発0520第6号)
報告体制自覚症状・疑いを報告できる体制安衛則第612条の2第1項
悪化防止手順離脱、冷却、受診・処置等安衛則第612条の2第2項
周知報告体制と手順を作業従事者へ伝える安衛則第612条の2第1項・第2項

WBGT28度・気温31度と予定時間は通達の定義

厚生労働省通達(基発0520第6号)は、「暑熱な場所」をWBGT28度以上または気温31度以上の場所とし、「熱中症を生ずるおそれのある作業」を、その場所で継続して1時間以上または1日当たり4時間を超えて行うことが見込まれる作業と整理しています。屋外の一地点だけでなく、移動を伴う作業も含め、場所と時間帯ごとに見込みを確認します。

一方、労働安全衛生規則第612条の2本文は「暑熱な場所において連続して行われる作業等」と規定し、28度、31度、1時間、4時間という数値を置いていません。社内資料でも「省令の数値」ではなく「通達による対象定義」と表示し、測定・予報の値と予定作業時間を記録します。

報告体制・悪化防止手順・周知を作業前に整える

報告体制では、作業従事者が自覚症状を有する場合、または他の作業従事者が熱中症の疑いを発見した場合に、誰へ、どの方法で報告するかを決めます。責任者が不在・通話不能のときに備え、代替連絡先も置き、作業中に随時報告を受けられる状態にします。

悪化防止手順では、作業からの離脱、身体の冷却、必要に応じた医師の診察または処置、緊急連絡・搬送などを作業場ごとに定めます。報告体制と手順は、対象作業の開始前に作業従事者へ周知します。数値や予定時間が定義未満でも、熱中症が疑われる人が出た場合は、定めた手順を踏まえて対応します。

元請・協力会社の責任と違反時の罰則

混在現場の各事業者から安衛法上の罰則までを示すチェーン図
混在現場の各事業者から安衛法上の罰則までを示すチェーン図

建設現場で複数の事業者が同じ作業場を使う場合、元請が共通手順を示せば各協力会社の義務がなくなるわけではありません。元方事業者と関係請負人が、それぞれ自社の作業従事者と作業について措置を確認します。

混在現場では元請だけでなく各事業者に義務

基発0520第6号は、同一の作業場で複数の事業者が作業する混在作業では、元方事業者と関係請負人の事業者のいずれにも措置義務が生じると示しています。元請工務店は作業場所全体の報告先や共通の搬送経路を調整し、各協力会社は自社の作業予定、作業従事者、責任者、連絡方法を確認します。

共通掲示を作るだけで終えず、会社ごとの報告経路が現場の共通手順につながるかを確認します。入場時の一般的な安全周知は新規入場者教育の書類の書き方、使用機械の確認は持込機械等使用届の書き方へ分け、熱中症の報告体制・手順・周知を独立した確認事項にします。

行為者の拘禁刑・罰金と法人の罰金を分ける

安衛則第612条の2は労働安全衛生法第22条に基づく規定です。同法第119条により、違反行為者は6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象となります。罰則の根拠は厚生労働省通達の本文ではなく、安衛則から安衛法第22条・第119条へつながる法令関係です。

法人等については、同法第122条により、その業務に関して違反行為をした行為者を罰するほか、法人または人にも各本条の罰金刑を科す両罰規定があります。法人に及ぶのは罰金刑のみで、行為者に対する刑とは異なります。社内教育では、措置内容と罰則の主体を分けて説明します。

建設現場で3措置を実装する方法

報告先・悪化防止手順・周知方法を一枚にまとめた現場カード
報告先・悪化防止手順・周知方法を一枚にまとめた現場カード

現場で使う手順は、担当者名だけでなく、連絡不能時の代替、作業から離脱させる判断、冷却場所、受診・搬送先、周知方法を一枚でたどれるようにします。元請と各社が別々の連絡網を作る場合も接続点を明確にします。

報告先と代替連絡先を決める

報告を受ける責任者の氏名、役割、電話番号、無線などの連絡方法を定め、作業時間中に連絡を受けられる状態を保ちます。責任者が現場を離れる時間、通信が届きにくい場所、夜間・休日作業を想定し、代替連絡先と最終的な判断責任者を決めます。

作業従事者本人からの報告だけに頼らず、同じ作業場にいる人が異変に気付いた場合の報告経路も周知します。朝礼参加者だけでなく、途中入場、別工区、運搬担当、短時間作業者へ伝わるかを確認します。報告を受けた日時、場所、症状、初動、次の連絡先を記録する様式も用意します。

作業離脱・冷却・受診・搬送の手順を作る

悪化防止手順は、疑いを把握したら作業から離脱させ、身体を冷却し、必要に応じて医師の診察または処置を受けさせる流れを基本にします。緊急連絡網、受診先、搬送手段、救急要請、同行者、元請・所属会社への連絡を作業場の実情に合わせて決めます。

症状や状況は一様ではないため、現場担当者が診断する運用にはしません。意識や応答、移動可否など異変を確認し、ためらわず手順に沿って医療機関・救急へつなぐ判断経路を明確にします。予定していた連絡先や搬送方法が使えない場合の代替も用意し、連絡網の更新日を記録します。

朝礼・掲示・携帯情報で全作業従事者へ周知する

周知は、掲示、文書配布、メール、携帯端末での共有、朝礼での伝達などから、現場の全作業従事者へ確実に届く方法を選びます。口頭だけでは複雑な手順が残らない場合や朝礼に参加しない人がいる場合は、複数の手段を組み合わせます。報告先は作業中にすぐ確認できる位置へ示します。

周知記録には、現場、対象会社、対象者、周知日、周知方法、報告先、使用した手順版、実施者を残します。出面表の作り方で当日の入場者と照合し、未周知者を確認します。手順を改訂したときは旧版を上書きせず、どの作業従事者へ再周知したかを記録します。

対象判定から当日運用までの手順

作業抽出・責任分担・手順作成・周知・当日確認の5段階工程
作業抽出・責任分担・手順作成・周知・当日確認の5段階工程

義務対応は、暑い日に掲示を出すだけでは完結しません。予定工程から対象作業を抽出し、事業者ごとの責任、報告体制、悪化防止手順、周知を整え、当日の条件と人員へ反映します。

作業抽出・責任分担・手順・周知・当日確認を回す

第1に、作業場所ごとのWBGT・気温見込みと予定時間から対象作業を抽出します。第2に、元請と各協力会社の責任者、報告先、代替連絡先を決めます。第3に、離脱、冷却、受診・処置、緊急連絡・搬送の手順を作業場ごとに作り、第4に全作業従事者へ周知します。

第5に、当日の値、作業時間、入場者、連絡先、手順版を確認し、条件や工程が変われば更新します。日々の値と運用は工事日報の書き方へ残し、掲示だけで完了にしません。疑いが生じた場合は数値条件の再判定を待たず、定めた手順を踏まえて対応します。

WBGT・周知・対応記録を案件へ残す

作業場所・時間帯・事業者・報告経路・手順版を結ぶ証跡マップ
作業場所・時間帯・事業者・報告経路・手順版を結ぶ証跡マップ

記録は、測定値だけ、周知署名だけに分散させず、どの作業場所・時間帯・事業者・手順版に関するものかを結び付けます。疑い発生時の対応履歴も同じ案件でたどれるようにします。

工務店HUBで手順版・担当・日次記録を結ぶ

工務店HUBでは、案件のカスタム項目を使い、作業場所、対象判定、元請・協力会社の責任者、報告先、代替連絡先、手順版、周知状態、当日確認、記録参照先を管理する設定例を作れます。現場写真には撮影日・場所・掲示版を付け、工務店の現場写真を一元管理する方法とつなぎます。

独自編集フレームは、「作業場所×時間帯×事業者×報告経路×悪化防止手順版」の運用マップです。条文、通達、自社運用の列を分け、通達の数値を省令本文の記載へ置き換えません。対応後に死亡または休業が生じた場合の行政報告は労働者死傷病報告の電子申請へ分け、予防措置の記録と事故後報告を混同しません。

作業場所、各社の報告先、手順版、周知対象を結ぶと、条件変更時の更新範囲を確認しやすくなります。

まとめ|元請と各社で3措置を運用する

安衛則第612条の2は2025年6月1日に施行済みです。WBGT28度以上または気温31度以上、継続1時間以上または1日4時間超は基発0520第6号の定義であり、省令本文の数値ではありません。対象作業では報告体制、悪化防止手順、周知を作業前に整えます。

混在現場では元請だけでなく各事業者に措置義務が生じ得ます。違反行為者は6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金、法人等に及ぶのは罰金刑です。場所・時間帯・事業者・報告先・手順版・周知を案件へ残し、疑い発生時は数値にかかわらず手順を踏まえて対応しましょう。

建設業の熱中症対策義務化のよくある質問

Q. 熱中症対策義務はいつからですか?

安衛則612条の2は2025年6月1日に施行されました。現行の条文では「作業従事者」と表記されています。

Q. WBGT28度未満なら対応不要ですか?

一律に不要とはいえません。数値・時間は通達上の対象定義であり、熱中症が疑われる人が出た場合は数値や作業時間にかかわらず定めた手順で対応します。

Q. 協力会社がいる現場では元請だけが義務を負いますか?

いいえ。混在現場では元方事業者と各関係請負人に措置義務が生じ得ます。

Q. 違反時の罰則は?

規則612条の2は安衛法22条に基づき、法119条の6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金へつながります。法122条により法人等に及ぶのは罰金刑です。


各社の手順を現場で共有

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