出来高請求書の書き方・出来高調書の作り方:請求タイミングと支払ルール【建設業2026】
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出来高請求書の書き方・出来高調書の作り方:請求タイミングと支払ルール【建設業2026】

2026年7月28日23分で読める

出来高請求書は、工事の進捗(出来高)に応じて請負代金の一部を分割して請求する書類です。工種ごとの施工数量に予算単価を掛けて累計出来高を算出し、そこから前回までの請求額を差し引いた「今回請求額」を記載するのが基本の書き方になります。長期の工事や継続的な下請取引では、完成まで待たず月々の出来高で請求できるかどうかが資金繰りを左右します。本記事では、出来高調書の作り方から出来高請求書の記入例、請求できるタイミングと建設業法・標準約款の支払ルールまでを、記入例と出典付きで整理します。

出来高(できだか)とは、工事全体のうちその時点までに完成した施工の割合や金額を指します。出来高請求は、この出来高に見合った金額を工事の途中で請求する方法で、まず工種別に出来高を積み上げた出来高調書を作り、それをもとに出来高請求書を発行する二段構えが基本です。次の早見表で用語を整理します。

用語意味
出来高工事全体のうち、その時点までに完成した施工の割合・金額
出来高調書工種別に「施工数量×予算単価」で出来高を積み上げた内訳資料
出来高請求書出来高調書をもとに今回請求分を計算して発行する請求書
差引残高請負契約額から今回までの請求累計を差し引いた未請求の残額

出来高・出来高調書・出来高請求書・差引残高の関係を整理した図
出来高・出来高調書・出来高請求書・差引残高の関係を整理した図

出来高請求書とは:公共の「部分払」と民間下請の月次請求は別物

出来高請求書は工事の進捗に応じて請負代金を分割請求する書類ですが、同じ「出来高払い」でも主体とルールが異なる2つの場面があります。混同しやすいので、最初に切り分けます。

1つは公共工事の出来高部分払方式で、これは発注者(官公庁)から元請へ支払う公的な制度です。前払金に加え、既済部分の検査を経て出来高に応じた部分払を受けられる仕組みで、元請から下請へのキャッシュフロー改善などが目的とされています(出典: 国土交通省「出来高部分払方式実施要領」)。もう1つは、下請会社や一人親方が元請へ毎月の出来高を請求する民間下請の月次出来高請求です。中小工務店の実務で中心になるのはこちらで、本記事も主にこの場面を扱います。

区分公共工事の出来高部分払方式民間下請の月次出来高請求
支払う側→受け取る側発注者→元請元請→下請・一人親方
主な根拠公共工事標準請負契約約款 第38条建設業法第24条の3・契約書/標準約款
請求の起点出来形部分の確認請求→発注者の検査月次で出来高を集計して請求

公共工事の出来高部分払方式と民間下請の月次出来高請求で主体が異なることを示す図
公共工事の出来高部分払方式と民間下請の月次出来高請求で主体が異なることを示す図

出来高調書の作り方:工種別「施工数量×予算単価」で累計する

出来高調書は、工種ごとに「契約数量・予算単価・当月までの施工数量」を並べ、施工数量×予算単価で当月出来高を計算し、前月までの累計に足し込んで作ります。実行予算と同じ工種区分で組むと、出来高の累計を契約額で割るだけで進捗率が出せるため、作成の手戻りが減ります。

土台になるのは工種別の予算です。見積段階で組んだ実行予算の内訳をそのまま出来高調書の行に使えば、単価の二重管理を避けられます。次のように、各工種の累計出来高を積み上げて全体の進捗率を把握します。

工種契約金額(税抜・例)当月までの累計出来高(例)進捗率(例)
仮設・基礎1,600,0001,600,000100%
木工事3,200,0002,240,00070%
内装・設備2,300,0001,150,00050%
外構1,200,000405,000約34%
合計8,300,0005,395,00065%

(出来高調書の記入例。金額は説明用の例です)

工種別に施工数量と予算単価から累計出来高と進捗率を積み上げる出来高調書の作り方の図
工種別に施工数量と予算単価から累計出来高と進捗率を積み上げる出来高調書の作り方の図

出来高請求書の書き方:請負契約額から差引残高までの記入例

出来高請求書は、「請負契約額→増減精算後の契約額→前回までの請求額→今回請求額→差引残高」の順に金額を並べ、今回請求額は「累計出来高−前回までの請求額」で算出します。追加・変更工事があった月は、先に増減精算をして契約額を更新してから出来高を当てはめるのがポイントです。

出来高請求書は工事の途中で発行する工事請求書の一種で、完成時に一括で出す請求書と記載項目の考え方は共通します。前掲の出来高調書(累計出来高5,395,000円・進捗率65%)を、前回までに3,320,000円を請求済みのケースに当てはめると、次の記入例になります。

項目金額(税抜・例)
請負契約額(当初)8,000,000
増減精算(追加・変更工事)+300,000
精算後の契約額8,300,000
今回までの累計出来高(進捗率65%)5,395,000
前回までの請求額3,320,000
今回請求額(累計出来高−前回まで)2,075,000
消費税(10%)207,500
差引残高(契約額−累計出来高)2,905,000

(出来高請求書の連動記入例。金額は説明用の例。様式はYDAIコンサルティング株式会社の帳票移行支援の実務知見にもとづく/匿名集計)

実務では、この差引残高を毎月正しく繰り越せているかが要点で、累計請求と契約額の突合がずれると請求のダブり・不足につながります。

請負契約額・増減精算・前回まで請求・今回請求額・差引残高を並べた出来高請求書の記入例の図
請負契約額・増減精算・前回まで請求・今回請求額・差引残高を並べた出来高請求書の記入例の図

請求タイミングと支払ルール:標準約款・建設業法・インボイス

民間の下請取引では、出来高請求は毎月の締め日に合わせて月1回にまとめるのが一般的です。国が定める標準的な契約約款でも、部分払は「○月ごとに出来高に相当する額(既支払額を控除する)」と、期間を区切って繰り返す形で例示されています(出典: 国土交通省「民間建設工事標準請負契約約款(甲)」)。実際の締めや回数は個別の契約・特記仕様で決まるため、契約書の支払条項を必ず確認します。

元請から下請への支払いには法律上の期限があります。元請負人は、注文者から出来形部分に対する支払または工事完成後の支払を受けたときは、その工事を施工した下請負人に対し、支払を受けた日から1月以内で、かつできる限り短い期間内に下請代金を支払わなければなりません(出典: 建設業法第24条の3)。公共工事では、受注者が出来形部分の確認を請求すると発注者は請求を受けた日から14日以内に検査を行い、部分払の請求後さらに14日以内に部分払金を支払う手続が定められています(出典: 国土交通省「公共工事標準請負契約約款」第38条)。

場面ルールの要点根拠
元請→下請の支払出来形・完成払を受けた日から1月以内・できる限り短い期間建設業法第24条の3
民間工事の部分払○月ごとに出来高相当額(既支払額を控除)民間建設工事標準請負契約約款(甲)
公共工事の部分払確認請求→14日以内に検査/請求後14日以内に部分払金公共工事標準請負契約約款 第38条
請求書の記載登録番号・税率ごとの消費税額・税率ごとに1回の端数処理国税庁(インボイス制度)

出来高請求書も、インボイス(適格請求書)として登録番号や税率ごとに区分した消費税額、税率ごとに1回の端数処理といった記載要件を満たす必要があります。建設業でのインボイス対応の詳細は建設業のインボイス対応で整理しています。

Excel手作業の限界と一元管理:請求機能で差引残高を自動化

出来高調書と出来高請求書をExcelで別々に持つと、毎月の集計に時間がかかり、差引残高の計算ミスや消費税の端数、登録番号の記載漏れが起きやすくなります。帳票の移行支援でうかがう範囲でも、案件が重なる月末は出来高の集計と請求書づくりに半日前後を要していたという声が多く、担当者の残業要因になりがちです(出所: 工務店HUBの移行支援の実務知見/YDAIコンサルティング株式会社・匿名集計)。

同じ支援のなかで多い記載ミスは、多い順に「差引残高の繰越ずれ(累計請求と契約額の突合違い)」「消費税端数の二重処理」「登録番号の記載漏れ」でした。いずれも、出来高と請求を別ファイルで手入力していることが背景にあります。案件ごとに実行予算・出来高・請求をひとつのデータでつなげば、今回請求額と差引残高が自動で計算され、転記ミスを抑えられます。日々の案件管理と同じ画面で請求まで完結させるのが、手戻りを減らす近道です。

Excelの別ファイル管理と、実行予算・出来高・請求を1案件で連動させた一元管理を比較した図
Excelの別ファイル管理と、実行予算・出来高・請求を1案件で連動させた一元管理を比較した図

工務店HUBは、実行予算・出来高・請求を同じ案件データでつなぎ、工種別の出来高から今回請求額と差引残高を自動計算します。お使いのExcel帳票を取り込めるため、慣れた出来高調書の様式を活かしたまま請求まで一元化できます。

まとめ

出来高請求書は、工種別に「施工数量×予算単価」で積み上げた出来高調書をもとに、「請負契約額→増減精算→前回まで請求→今回請求額→差引残高」の順で金額を並べて作ります。今回請求額は累計出来高から前回までの請求額を引いて求め、差引残高を毎月正しく繰り越すことが要点です。請求のタイミングは月1回にまとめるのが一般的で、元請から下請への支払いは出来形・完成払を受けた日から1月以内という建設業法のルールがあります。出来高と請求を別々のExcelで管理すると計算ミスや記載漏れが起きやすいため、実行予算から請求までを1つの案件データでつなぐと、抜け漏れを減らせます。

よくある質問

Q1. 出来高請求書と工事請求書の違いは何ですか?

工事請求書は工事代金を請求する書類全般を指し、出来高請求書はそのうち工事の途中で進捗(出来高)に応じて分割請求するものです。完成時に一括で出す請求書と記載項目の考え方は共通します。書き方の基礎は工事請求書も参考になります。

Q2. 今回請求額はどう計算しますか?

今回請求額は「今回までの累計出来高−前回までの請求額」で求めます。累計出来高は工種ごとの施工数量×予算単価を積み上げて算出し、追加・変更工事があった月は先に増減精算をして契約額を更新してから当てはめます。

Q3. 出来高請求はどのタイミングでできますか?

民間の下請取引では毎月の締め日に合わせて月1回にまとめるのが一般的です。標準的な契約約款でも、部分払は「○月ごとに出来高に相当する額(既支払額を控除する)」と期間を区切って例示されています(出典: 国土交通省「民間建設工事標準請負契約約款(甲)」)。実際の締めや回数は契約書の支払条項で確認してください。

Q4. 元請はいつまでに下請へ支払う必要がありますか?

元請負人は、注文者から出来形部分または工事完成後の支払を受けたときは、その工事を施工した下請負人に対し、支払を受けた日から1月以内で、かつできる限り短い期間内に下請代金を支払わなければなりません(出典: 建設業法第24条の3)。

Q5. 公共工事の出来高部分払方式とは何ですか?

発注者から元請へ、工事の完成前に出来形部分に応じて代金の一部を支払う制度です。受注者が出来形部分の確認を請求すると、発注者は請求を受けた日から14日以内に検査を行い、部分払の請求後さらに14日以内に部分払金を支払います(出典: 国土交通省「公共工事標準請負契約約款」第38条)。民間下請の月次出来高請求とは主体が異なります。

Q6. 出来高請求書もインボイスに対応が必要ですか?

はい。適格請求書として、登録番号・税率ごとに区分した消費税額・税率ごとに1回の端数処理といった記載要件を満たす必要があります。建設業での対応の詳細は建設業のインボイス対応で整理しています。

Q7. 出来高調書はExcelのままでも作れますか?

作れますが、件数が増えると差引残高の繰越ずれや消費税端数、登録番号の漏れが起きやすくなります。実行予算・出来高・請求を同じ案件データでつなぐと、今回請求額と差引残高の自動計算で手作業のミスを減らせます。


出来高請求を、案件データから自動で。

工務店HUBは、実行予算・出来高・請求を1つの案件でつなぎ、工種別の出来高から今回請求額と差引残高を自動で計算。Excelの二重入力と転記ミスを減らします。

初期費用¥30,000・月額¥4,980/名〜(1〜5名の場合。6名以上は¥2,980/名・いずれも税込)。料金・機能の詳細や無料での製品体験はお問い合わせからご案内しています。

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