
施工体制台帳の書き方|5,000万円・8,000万円基準と施工体系図【2026年版】
施工体制台帳の書き方|5,000万円・8,000万円基準と施工体系図【2026年版】
民間工事では、発注者から直接請け負った特定建設業者の下請契約総額が5,000万円以上、建築一式工事は8,000万円以上になると施工体制台帳が必要です。金額だけでなく、元請か、特定建設業者か、工事区分は何か、公共工事かを順に判定します。
施工体制台帳は下請関係と施工分担を記録する法定台帳であり、材料費や外注費を集計する社内の工事台帳とは別物です。この記事では、要否判定、必要情報の収集、初版作成、施工体系図との照合、変更時の更新までを一つの流れで解説します。
施工体制台帳が必要かを最初に判定する

施工体制台帳は下請関係と施工分担を管理する法定台帳
施工体制台帳は、元請から各段階の下請まで、会社、請負内容、工期、技術者などを整理する台帳です。施工体系図は、その施工関係を現場関係者が見通せる図にしたものです。建設業法24条の8を起点に、主体と工事条件を確かめます。
民間工事の金額基準が問題になるのは、発注者から建設工事を直接請け負った特定建設業者が下請契約を結ぶ場合です。一般建設業の許可だけで請け負える範囲か、そもそも下請契約があるかも含めて判定します。安全書類の種類一覧で他の提出物と分けると、台帳の役割が明確になります。
民間工事は5,000万円、建築一式工事は8,000万円が基準
現行の金額基準は、下請契約総額5,000万円以上、建築一式工事は8,000万円以上です。複数の下請契約へ分かれていても、元請が締結する下請契約の総額で確認します。旧基準を使わず、建設業法施行令7条の4と契約資料を照合してください。
| 工事の条件 | 元請の立場 | 下請契約の状態 | 判定の要点 |
|---|---|---|---|
| 民間の建築一式以外 | 直接請負の特定建設業者 | 総額5,000万円以上 | 法定台帳の対象 |
| 民間の建築一式 | 直接請負の特定建設業者 | 総額8,000万円以上 | 法定台帳の対象 |
| 民間工事 | 一般建設業者 | 許可範囲内の下請契約 | 特定建設業者の基準とは分ける |
| 公共工事 | 発注者から直接請負 | 下請契約あり | 民間の金額基準だけで判断しない |
公共工事には別の作成・提出ルールがあるため、民間の金額表だけで不要と決めません。発注者の仕様書で金額基準より広く提出を求める場合もあります。法令上の作成義務と契約上の提出条件を分け、判定日と根拠資料を残します。

台帳と施工体系図に必要な情報を集める
元請・下請・工事内容・工期・技術者情報を契約書類から集める
必要情報は、会社、契約、工事、技術者の4群に分けると集めやすくなります。会社情報は名称、住所、許可内容など、契約情報は注文書・請書や契約日、工事情報は工事名、内容、場所、工期、技術者情報は主任技術者や監理技術者等の氏名・資格・専任状況が中心です。記載事項は建設業法施行規則の現行条文で確認します。
手入力の転記だけに頼らず、各項目の情報源と確認日を残します。会社名は契約書、許可は許可資料、技術者資格は資格資料というように根拠を固定すると、誤字や期限切れを見つけやすくなります。必要範囲を超えて登記事項や個人情報を複製せず、閲覧権限も定めてください。
再下請負通知から下位の施工関係を施工体系図へ反映する
下請がさらに下請契約を結ぶ場合は、下請側から届く再下請負通知を元請が受け、台帳と施工体系図へ反映します。全建統一様式では施工体制台帳が第3号、再下請負通知書が第1号-甲、施工体系図を含む工事作業所災害防止協議会兼施工体系図が第4号です。第2号は施工体制台帳作成建設工事の通知なので取り違えないでください。
会社名、請負工事の内容、工期、技術者の4点を台帳と施工体系図で横断確認します。通知が届いても体系図が旧版のままでは、現場で指揮系統を誤認するおそれがあります。再下請負通知書の確認手順と連動させ、受領から反映、確認までの担当を定めます。

施工体制台帳を作成して現場に備え置く
要否判定から初版作成までを5段階で進める
初版は、契約総額の確認、協力会社への資料依頼、台帳入力、施工体系図作成、相互照合の5段階で進めます。先に工事番号と基準日を決め、受領資料を同じ案件へ集めます。未受領の項目は空欄のまま確定せず、依頼先、依頼日、回答予定を分けて管理すると、作業途中の版を現場用と誤認しにくくなります。
全建統一様式は標準様式として便利ですが、唯一の法定様式ではありません。改訂6版は令和6年10月発行で、様式第3号と第1号-甲では外国人建設就労者の従事状況欄が削除されました。各書式の押印欄も大幅に削除する等の見直しが行われていますが、提出先の指定版と法定記載事項を必ず確かめます。

下請追加・工期変更・技術者変更のたびに更新する
施工体制は着工時に固定されるとは限りません。下請会社の追加・交代、請負内容や金額の変更、工期変更、主任技術者・監理技術者等の変更があれば、影響する台帳項目と施工体系図を更新します。変更契約や通知を受けた日、台帳へ反映した日、現場掲示を差し替えた日を区別して残します。
ファイル名だけで新旧を判断せず、版、基準日、更新理由、確認者を記録します。旧版は削除せず履歴として保管し、現場で参照する版を一つに定めます。台帳、施工体系図、契約・通知資料の更新日がずれている場合は、差異の理由と次の対応を確認してから確定します。
台帳の転記漏れを案件情報との照合で防ぐ
契約・再下請・技術者の3方向から確認する
照合は、契約、再下請、技術者の3方向で行います。契約書があるのに台帳へ会社がない、再下請負通知は更新済みなのに施工体系図が旧工期、技術者名は同じでも資格資料の有効性を確認していない、といった不整合を一覧化します。単に空欄を探すのではなく、同じ事実が複数資料で一致しているかを見ます。
| 台帳項目 | 主な情報入手元 | 主な更新契機 | 主な確認者 |
|---|---|---|---|
| 会社・許可 | 契約資料・許可資料 | 下請追加、許可内容変更 | 工事担当・管理担当 |
| 工事内容・金額 | 注文書・注文請書 | 追加変更契約 | 工事担当・契約担当 |
| 工期 | 契約書・工程表 | 着工日、完成日、工程変更 | 現場責任者 |
| 再下請関係 | 再下請負通知書 | 再下請追加・変更 | 元請確認者 |
| 技術者 | 配置資料・資格資料 | 交代、資格情報変更 | 現場責任者 |
この対応表は法定項目を転記するための様式ではなく、確認作業の分担表です。注文書・注文請書の管理方法と併用し、契約の有無、台帳への反映、体系図の表示を一行で確認すると、資料ごとの確認漏れを減らせます。

工務店HUBでは元資料と更新状況を案件に結び付ける
工務店HUBでは、契約、再下請負通知、資格資料などを現場記録として案件へ保存し、カスタム項目で受領日、確認日、版、更新理由を管理できます。施工体制台帳の作成判断と記載内容は担当者が行い、その根拠となった資料と履歴を探しやすくする使い方です。
原価を管理する工事台帳の作り方とは目的を分けつつ、同じ案件番号で参照できる状態にすると混同を防げます。担当交代時は、現場で使用中の版、未反映の変更、次の確認日を引き継ぎ、書類の所在だけでなく判断の状態まで共有します。
施工体制台帳についてよくある質問
下請契約が5,000万円未満なら施工体制台帳は不要ですか
金額だけでは決められません。民間工事の法定要件は、元請の許可区分、建築一式かどうか、下請契約の総額を合わせて判定します。公共工事や発注者独自の提出条件は別に確認し、法定基準未満でも提出を求められる契約条件がないか確かめてください。
施工体制台帳と工事台帳は同じ書類ですか
異なります。施工体制台帳は下請関係や施工分担を示す法定台帳で、工事台帳は案件の売上、材料費、外注費、経費などを集計する社内帳票です。名称が似ていても、根拠、利用者、記載項目、更新契機が違うため、保存先と責任者を分けます。
全建統一様式を使う義務がありますか
全建統一様式は広く使われる標準様式ですが、唯一の法定様式ではありません。法定記載事項を満たし、発注者や元請の指定がある場合はその様式に合わせます。現行版の書類名と様式番号を照合し、過去案件から旧版を複製したまま使わないことが重要です。
まとめ|要否判定と変更時の更新を一つの流れにする
民間工事では、直接請負の特定建設業者、工事区分、下請契約総額を確認し、5,000万円または建築一式工事8,000万円の基準で判定します。必要な場合は契約・再下請・技術者の資料から台帳と施工体系図を作り、下請追加、工期変更、技術者変更のたびに両方を更新しましょう。
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