工事請負契約書の書き方:建設業法19条16の法定記載事項と2026年改正【2026年版】
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工事請負契約書の書き方:建設業法19条16の法定記載事項と2026年改正【2026年版】

2026年7月23日24分で読める

工事請負契約書の正しい書き方は「建設業法第19条第1項が定める16の法定記載事項をすべて備え、着工前に相互交付する」ことに尽きます。金額と工事内容だけの簡易な注文書では要件を満たさないことがあり、2026年は令和6年12月13日施行の改正で記載が必須となる内容が一段増えました。本記事では、16の法定記載事項、2026年に見直す点、自作契約書で欠落しやすい項目、見積からの転記時の確認点までを、一次ソースを示しながら整理します。

工事請負契約書とは、建設工事の注文者と請負人(工務店・元請等)が、工事内容や請負代金、工期などの取り決めを書面(または電子データ)で明確にする契約書です。建設業法第19条第1項は、契約の当事者に対し、契約の締結に際して定められた事項を書面に記載し、署名又は記名押印して相互に交付することを義務付けています(出典: e-Gov建設業法第19条第1項)。

項目内容
根拠法建設業法第19条第1項(書面交付義務)
記載事項第1号〜第16号の16項目
交付の時期契約の締結に際して(原則着工前)
交付の方法書面の相互交付/相手方の承諾があれば電子契約も可(第19条第3項)
2026年の注意点令和6年12月13日施行で第8号に「価格変動時の請負代金額の算定方法」が必須化

工事請負契約書の基本と建設業法第19条の書面交付義務を示す全体像
工事請負契約書の基本と建設業法第19条の書面交付義務を示す全体像

工事請負契約書とは(建設業法第19条の書面交付義務)

工事請負契約書は、口約束や金額だけの注文書では不十分で、建設業法第19条が求める16項目を備えた書面(電子を含む)で交わす必要があります。工事途中の追加・変更や事故によるトラブルを防ぐ最低ラインであり、当事者が対等な立場で内容を確認する基礎になります。

小規模なリフォームや一人親方の下請でも、この書面交付義務は変わりません。「注文請書」の形式で交わす場合でも、16項目を満たすことが前提です。案件が増えるほど作成漏れや記載のばらつきが起きやすいため、契約・見積・請求を案件ごとに紐づける運用が有効です。工事1件ごとの契約管理は一人親方・小規模工務店の案件管理方法:紙・LINEから卒業する手順【2026年版】でも整理しています。

工事請負契約書の作成から相互交付までの流れ
工事請負契約書の作成から相互交付までの流れ

16の法定記載事項の完全早見表(第1〜16号)

契約書に最低限そろえるべきは、建設業法第19条第1項が定める第1号から第16号までの16項目です。工事内容や金額の骨格だけでなく、変更や不可抗力が起きたときの取り決めまで含まれる点が特徴です(出典: e-Gov建設業法第19条第1項)。

法定記載事項(要旨)
第1号工事内容
第2号請負代金の額
第3号工事着手の時期及び工事完成の時期
第4号工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容
第5号前金払・出来形部分に対する支払の定めをするときは、その時期及び方法
第6号設計変更・工事の中止等があった場合の工期・請負代金額の変更及び損害負担並びにその算定方法
第7号天災その他不可抗力による工期の変更・損害の負担及びその算定方法
第8号価格等の変動・変更に基づく工事内容・請負代金額の変更及びその額の算定方法に関する定め
第9号工事の施工により第三者が損害を受けた場合の賠償金の負担
第10号注文者が資材提供・機械貸与をするときの内容及び方法
第11号検査の時期・方法及び引渡しの時期
第12号工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
第13号契約不適合を担保すべき責任・保証保険契約等の定めをするときは、その内容
第14号履行遅滞など債務不履行の場合の遅延利息・違約金その他の損害金
第15号契約に関する紛争の解決方法
第16号その他国土交通省令で定める事項

第4号「工事を施工しない日又は時間帯」は、週休二日など働き方改革を背景に令和2年10月1日施行で追加された項目で、2026年の改正で新設されたものではありません(出典: 国土交通省・建設業法改正〈令和2年10月1日施行〉)。

建設業法第19条第1項16の法定記載事項を一覧化した早見表
建設業法第19条第1項16の法定記載事項を一覧化した早見表

2026年時点の注意点(令和6年12月13日施行の第8号改正)

2026年に自作契約書でまず見直すべきは、価格変動時に請負代金額をどう変えるかという「算定方法」を書いておくことです。令和6年12月13日施行の改正で第8号が改められ、契約書には次の事項の記載が求められるようになりました(出典: 建設業法第19条第1項第8号〈令和6年法律第49号による改正、令和6年12月13日施行〉、国土交通省「建設業法・入契法改正(令和6年法律第49号)について」)。

価格等の変動又は変更に基づく工事内容の変更又は請負代金の額の変更及びその額の算定方法に関する定め

従来は「請負代金の額又は工事内容の変更」に触れていれば足りましたが、改正後は変更する場合の「算定方法」まで明記することが必須になりました。単に「変更しない」とだけ記した契約書は、第19条第1項に適合しないおそれがあります。

あわせて同日施行の第20条の2では、受注者は主要資材の不足・価格高騰など請負代金や工期に影響する事象が生じるおそれがあると認めたときは、契約締結前に注文者へ通知しなければならないこととされ(通知義務)、注文者はその後の変更協議に誠実に応じるよう努めることとされました(努力義務)(出典: 建設業法第20条の2第2項・第4項、国土交通省「建設業法・入契法改正〈令和6年法律第49号〉」)。契約書の様式は最新の要件に合わせておきましょう。更新手続きは建設業許可の更新手続き:期限・必要書類・流れを解説【2026年版】で解説しています。

令和6年12月13日施行の第8号改正で価格変動時の算定方法が必須化した点を示す図
令和6年12月13日施行の第8号改正で価格変動時の算定方法が必須化した点を示す図

中小工務店の自作契約書で欠落しやすい項目(独自データ)

自作の契約書や注文請書では、金額と工事内容は書けていても「変更が起きたときの算定方法」が抜けやすい傾向があります。当社の帳票取込・移行支援で拝見したサンプルをもとに、記載が薄い・欠落しやすい項目を多い順に整理すると、次の傾向がみられました。

欠落・記載が薄い順項目よくある状態
1第8号 価格変動時の算定方法改正が新しく、旧様式のままで未対応が最も目立つ
2第6号 設計変更時の算定方法「別途協議」とだけ書き、算定方法が曖昧
3第7号 不可抗力による損害負担条項ごと欠落しがち
4第4号 工事を施工しない日・時間帯取り決めても契約書へ未記載
5第13号 契約不適合責任の内容期間・範囲が不明確

出所: 工務店HUBの帳票取込・移行支援サンプル(YDAIコンサルティング株式会社・匿名集計)。工事内容・請負代金・工期の基本3号はほぼ全件で書かれる一方、変更や不可抗力時の「算定ルール」を定める号ほど記載が薄くなる傾向でした。なお、これは匿名サンプルから得た傾向であり、正確な割合を保証するものではありません。

自作契約書で欠落しやすい法定記載事項の傾向を示すランキング図
自作契約書で欠落しやすい法定記載事項の傾向を示すランキング図

見積から契約書への転記と締結

契約書は一から作るより、確定した見積書の内容を転記するほうが早く、ミスも減らせます。見積の段階で工事内容・金額・工期が固まっていれば、その多くがそのまま契約書の記載事項になります。見積書の作り方は建設業の見積書の書き方:法定記載事項と単価の考え方【2026年版】、リフォーム工事はリフォームの見積書の書き方:項目の分け方と注意点【2026年版】で整理しています。

見積書の項目転記先の記載事項
工事名・仕様・数量第1号 工事内容
見積金額(税込)第2号 請負代金の額
着工・完工予定第3号 工事着手・完成の時期
単価・材料費の前提第8号 価格変動時の算定方法の根拠
追加・変更見積の扱い第6号 設計変更時の算定方法

締結の方法は書面が基本ですが、相手方の承諾を得れば電子契約による締結も認められています(出典: 建設業法第19条第3項、国土交通省「電磁的措置による建設工事の請負契約の締結に係るガイドライン」)。電子契約でも記載すべき16項目は変わりません。見積・実行予算・原価まで一連の案件データでつなぐ考え方は建設業の実行予算とは:見積との違いと作り方【2026年版】も参考になります。工務店HUBは見積から契約・請求までを同じ案件で扱えるため、確定した数字を契約書へ反映しやすくなります。

まとめ

工事請負契約書の正しい書き方は、建設業法第19条第1項の16の法定記載事項を漏れなく備え、着工前に相互交付することです。2026年は、令和6年12月13日施行の第8号改正で「価格変動時の請負代金額の算定方法」の記載が必須になった点が最大のポイントで、旧様式のままだと要件を満たさないおそれがあります。自作契約書は変更時の算定方法が抜けやすいため、見積で固めた内容を転記しつつ様式を最新要件に合わせましょう。締結は書面が基本ですが、相手方の承諾があれば電子契約も有効です。

よくある質問

Q1. 工事請負契約書に必ず書くべき項目は何ですか?

建設業法第19条第1項が定める第1号から第16号までの16項目です。工事内容・請負代金の額・工期に加え、設計変更・不可抗力・価格変動時の変更と算定方法、検査・引渡し、紛争解決方法などが含まれます(出典: e-Gov建設業法第19条第1項)。元請・下請を問わず記載が必要です。

Q2. 手書きやExcel、市販テンプレートでも問題ありませんか?

16の法定記載事項を満たしていれば、様式は問われません。市販やダウンロードのテンプレートを使う場合は、令和6年12月13日施行の第8号(価格変動時の算定方法)に対応しているかを必ず確認してください(出典: 建設業法第19条第1項第8号〈令和6年法律第49号による改正、令和6年12月13日施行〉、国土交通省「建設業法・入契法改正(令和6年法律第49号)について」)。古いテンプレートは算定方法の記載が抜けていることがあります。

Q3. 電子契約でも法的に有効ですか?

有効です。建設業法第19条第3項により、契約の相手方の承諾を得たうえで、電子情報処理組織を使用する方法などによる締結が認められています(出典: 建設業法第19条第3項、国土交通省「電磁的措置による建設工事の請負契約の締結に係るガイドライン」)。電子で締結する場合も、記載すべき16項目は書面と同じです。

Q4. 工事請負契約書の印紙税はいくらですか?

工事請負契約書は印紙税法上の第2号文書(請負に関する契約書)にあたり、契約金額に応じた印紙税がかかります。建設工事の請負契約書は軽減措置の対象で、令和9年3月31日までに作成されるものが適用されます(出典: 国税庁「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」)。税額は契約金額の区分で異なるため、国税庁の一覧で確認してください。

Q5. 一人親方が元請と結ぶ下請契約も対象ですか?

対象です。建設業法第19条の書面交付義務は元請・下請を問わず適用され、下請契約でも16項目を記載した契約書(注文請書を含む)を相互交付する必要があります(出典: e-Gov建設業法第19条第1項)。一人親方が下請で受注する場合も、書面で残すことがトラブル防止につながります。

Q6. 2026年の改正で契約書は何が変わりましたか?

令和6年12月13日施行の改正で第8号が改められ、価格等の変動・変更に基づく請負代金額の変更について、その「算定方法」を契約書に定めることが必須になりました(出典: 建設業法第19条第1項第8号〈令和6年法律第49号による改正、令和6年12月13日施行〉、国土交通省「建設業法・入契法改正(令和6年法律第49号)について」)。単に「変更しない」とだけ記した契約書は、第19条第1項に適合しないおそれがあります。


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