工事経歴書(様式第2号)の書き方:請負代金の大きい順・税込税抜・記載ルール【工務店向け・2026年版】
お役立ち情報

工事経歴書(様式第2号)の書き方:請負代金の大きい順・税込税抜・記載ルール【工務店向け・2026年版】

2026年8月2日23分で読める

工事経歴書(様式第2号)は、直前1事業年度に完成させた工事と、期末時点で施工中の未成工事を、許可を受けた業種ごとに1枚ずつ、請負代金の額の大きい順に並べて記載する書類です。結論を先に言うと、経営事項審査(経審)を受けるかどうかで記載順と税抜・税込の扱いが変わるため、自社がどちらの用途で作るのかを最初に決めるのが近道です。毎年の決算変更届に添付する定番書類でありながら、記載順や税区分の細かいルールでつまずきやすいのも事実です。本記事では、様式第2号の位置づけ、記載順のルール、税込・税抜の考え方、工事台帳データから作る手順、そして頻出の記載ミスまでを、出典を示しながら整理します。

工事経歴書(様式第2号)とは、建設業許可を受けた業種ごとに、直前の1事業年度に完成させた工事(完成工事)と、期末時点で施工中の工事(未成工事)を、請負代金の額の大きい順に並べて記載する書類です(出典: 国土交通省・建設業法施行規則 様式第二号)。よく似た名前の様式第3号「直前3年の各事業年度における工事施工金額」とは別物で、こちらは3年分の施工金額を集計する書類です。両者を取り違えないことが最初のポイントになります。

項目内容
様式番号様式第2号(建設業法施行規則)
正式名称工事経歴書
対象期間直前の1事業年度
記載対象完成工事+未成工事
作成単位許可を受けた建設業の業種ごとに1枚
主な提出場面決算変更届の添付・経営事項審査
似て非なる様式様式第3号=直前3年の工事施工金額(別物)

工事経歴書(様式第2号)の対象期間・記載対象・作成単位を示した基本早見表
工事経歴書(様式第2号)の対象期間・記載対象・作成単位を示した基本早見表

工事経歴書とは(決算変更届・経審での位置づけ)

工事経歴書が必要になるのは、建設業許可の取得時と、許可取得後に毎年提出する決算変更届(事業年度終了届)の両方です。決算変更届は建設業法第11条第2項に基づき、事業年度の終了後4か月以内に提出する義務があり、工事経歴書はその中核となる添付書類です(出典: 国土交通省「建設業許可・許可後の手続き」/建設業法第11条第2項)。ここでいう工事経歴書は社内の工事台帳(案件管理台帳)を並べ替えて作るもので、下請の施工体制を示す施工体制台帳とは別の書類です。

提出を怠ると影響は小さくありません。決算変更届が未提出のままだと、5年ごとの許可更新の申請を受け付けてもらえないことがあります(出典: 国土交通省「建設業許可・許可後の手続き」)。決算変更届そのものの全体像は決算変更届(事業年度終了届)の書き方と提出期限、更新申請への影響は建設業許可の更新手続きで整理しているので、あわせて確認してください。

工事経歴書が決算変更届と経営事項審査の双方で使われる位置づけの図
工事経歴書が決算変更届と経営事項審査の双方で使われる位置づけの図

記載項目と記載順のルール(大きい順・7割・軽微10件)

記載順の結論は、経営事項審査を受ける場合、「元請の完成工事を請負代金の大きい順に元請完成工事高の合計の7割を超えるまで書き、次に下請を含めた完成工事を全体の7割を超えるまで書き、最後に未成工事を大きい順に書く」です(出典: 国土交通省 建設業法施行規則 様式第二号 記載要領)。金額の大きい順に並べるのが全体を貫く原則で、順番を守れば記載対象は自然に絞り込まれます。

順番記載する工事どこまで記載するか
(1)元請の完成工事(請負代金の大きい順)元請完成工事高の合計の7割超まで
(2)(1)の残り+下請を含む完成工事(大きい順)総完成工事高(元請+下請)の7割超まで
(3)主な未成工事(大きい順)主なものを記載

(1)を記載していく過程で、請負代金の合計が1,000億円に達したとき、または軽微な工事が10件に達したときは、7割に満たなくてもその時点で元請の記載を打ち切れます(出典: 国土交通省 建設業法施行規則 様式第二号 記載要領)。ここでいう軽微な工事とは、請負代金500万円未満(建築一式工事は1,500万円未満、または延べ面積150平方メートル未満の木造住宅)の工事を指します(出典: 建設業法施行令第1条の2)。なお経営事項審査を受けない場合は、完成工事を大きい順に記載してから未成工事を大きい順に記載する形で足りることが多く、7割の縛りは緩やかです。取扱いは提出先の行政庁で異なるため、最新の手引きで確認してください。

経営事項審査を受ける場合の工事経歴書の記載順(元請7割超→全体7割超→未成工事)のフロー図
経営事項審査を受ける場合の工事経歴書の記載順(元請7割超→全体7割超→未成工事)のフロー図

税込・税抜と「許可業種ごと1枚」の作成ルール

税込・税抜の結論は、「経営事項審査を受けるなら税抜、受けないなら税込・税抜のどちらでもよいが社内で統一する」です。経営事項審査を受ける場合、課税事業者は工事経歴書・様式第3号・財務諸表を消費税抜きの金額で作成します(出典: 各行政庁の工事経歴書記載要領。例: 香川県「工事経歴書の留意点等について」)。経審を受けない許可申請・決算変更届のみであれば税込・税抜のどちらでも構いませんが、工事経歴書・様式第3号・財務諸表の3つで表記をそろえる必要があります。

もう一つの基本ルールが「許可業種ごとに1枚」です。工事経歴書は許可を受けた建設業の業種ごとに1枚ずつ作成し、1枚に複数業種を混ぜて書くことはできません(出典: 国土交通省 建設業法施行規則 様式第二号 記載要領)。合計欄の金額は、様式第3号のその業種の合計金額と一致させる必要があるため、業種のくくり方を最初にそろえておくと後工程が楽になります。

用途税込・税抜統一の範囲
経営事項審査を受ける税抜(課税事業者)工事経歴書・様式第3号・財務諸表
許可申請・決算変更届のみ税込・税抜どちらでも可上記3書類で統一

経審の有無で変わる税込・税抜の扱いと、許可業種ごとに1枚作成するルールを示した図
経審の有無で変わる税込・税抜の扱いと、許可業種ごとに1枚作成するルールを示した図

工事台帳データから作る手順(項目マッピング表)

工事経歴書は、日々つけている工事台帳(社内の案件管理台帳)のデータを並べ替えれば、ゼロから書き起こさずに作れます。手順は、(1)直前1事業年度に完成・施工中の案件を抽出、(2)元請か下請か・完成か未成かで区分、(3)請負代金の大きい順に並べ替え、(4)各案件の項目を様式第2号の列へ転記、(5)合計欄を様式第3号と突合、という流れです。台帳のデータが業種・受注区分・税区分でそろっていれば、この5ステップはほぼ機械的に進みます。

下表は工務店HUBの帳票取込・移行支援の実務知見にもとづく、工事台帳の項目と様式第2号の列の対応の目安です。

様式第2号の主な列工事台帳・案件データの項目
注文者顧客名(施主・元請会社名)
元請又は下請の別受注区分
工事名案件名
工事現場の都道府県・市区町村現場住所
配置技術者(主任・監理の別、氏名)現場担当者・主任技術者
請負代金の額契約金額(税抜/税込は用途で選択)
工期(着工〜完成/完成予定)着工日・完工日
完成・未成の別案件ステータス

台帳づくりの基本は工事台帳の作り方、Excelで作る場合の工夫と限界は工事台帳をExcelで作る方法、案件を一元管理する考え方は工務店の案件管理で解説しています。工務店HUBでは、見積・請求とひも付いた案件データがそのまま台帳になるため、期末に並べ替えるだけで様式第2号の下地を用意しやすくなります。

工事台帳・案件データの各項目を様式第2号の列へ対応させるマッピングの図
工事台帳・案件データの各項目を様式第2号の列へ対応させるマッピングの図

頻出の記載ミスチェックリスト

工事経歴書で行政庁から補正を求められやすいのは、次のような点です。下表は工務店HUBの工事台帳・案件管理の実務知見にもとづく、つまずきやすい順の整理なので、提出前のセルフチェックに使ってください。

頻出ミス内容と回避のポイント
税込・税抜の混在経審は税抜、経審なしは統一。財務諸表・様式第3号とそろえる
記載順の誤り経審は元請完成工事→全体→未成工事の順で、大きい順を守る
元請・下請の区分ミス案件ごとの受注区分を正しく反映する
未成工事の記載漏れ期末に施工中の工事を「未成工事」として記載する
軽微工事の件数超過経審で軽微な工事が10件に達したら打切り
合計欄の不一致合計欄を様式第3号の業種別合計と一致させる
業種ごとの分割漏れ複数業種は業種ごとに1枚ずつ作成する
配置技術者の記載漏れ主任技術者・監理技術者の別と氏名を記載する

これらの多くは、工事台帳のデータが業種・受注区分・税区分で整理されていれば未然に防げます。逆に、台帳がExcelで属人的だと、期末にまとめて突き合わせる段階で数字が合わず、補正のやり取りが発生しがちです。

まとめ

工事経歴書(様式第2号)は、直前1事業年度の完成工事と未成工事を、許可業種ごとに1枚、請負代金の大きい順に記載する書類です。経営事項審査を受ける場合は、元請の完成工事を元請完成工事高の7割超まで、次に全体の7割超まで、最後に未成工事を記載し、金額は税抜でそろえます。経審を受けない場合は税込・税抜を社内で統一すれば足ります。軽微な工事10件や1,000億円での打切り、業種ごとの分割、合計欄と様式第3号の一致といった細かなルールは、工事台帳のデータを業種・受注区分・税区分で整えておけば、毎年の作成負担を大きく減らせます。制度の取扱いは行政庁で異なるため、提出先の最新の手引きで確認してください。

よくある質問

Q1. 工事経歴書(様式第2号)はどの期間の工事を書きますか?

直前の1事業年度が対象です。その事業年度に完成させた工事(完成工事)と、期末時点で施工中の工事(未成工事)を、許可を受けた業種ごとに1枚ずつ、請負代金の大きい順に記載します(出典: 国土交通省・建設業法施行規則 様式第二号)。

Q2. 様式第2号と様式第3号は何が違いますか?

様式第2号(工事経歴書)は直前1事業年度の完成工事・未成工事の明細を書く書類、様式第3号は直前3年の各事業年度における工事施工金額を集計する書類です(出典: 建設業法施行規則 様式第二号・様式第三号)。名前が似ていますが役割が異なり、様式第2号の合計欄は様式第3号の業種別合計と一致させます。

Q3. 記載順のルールを教えてください。

経営事項審査を受ける場合は、まず元請の完成工事を請負代金の大きい順に元請完成工事高の7割超まで、次に下請を含めた完成工事を全体の7割超まで、最後に主な未成工事を大きい順に記載します(出典: 国土交通省 建設業法施行規則 様式第二号 記載要領)。元請の記載中に累計1,000億円または軽微な工事10件に達したら、その時点で打ち切れます。

Q4. 請負代金は税込・税抜のどちらで書きますか?

経営事項審査を受ける場合、課税事業者は工事経歴書・様式第3号・財務諸表を税抜で作成します(出典: 各行政庁の工事経歴書記載要領。例: 香川県「工事経歴書の留意点等について」)。経審を受けない場合は税込・税抜どちらでも構いませんが、これら3書類で表記を統一します。

Q5. 軽微な工事とは何ですか。10件で打ち切るのはなぜですか?

軽微な工事とは、請負代金500万円未満(建築一式工事は1,500万円未満、または延べ面積150平方メートル未満の木造住宅)の工事です(出典: 建設業法施行令第1条の2)。経営事項審査を受ける場合、元請の完成工事を大きい順に記載する過程で軽微な工事が10件に達すると、そこで記載を打ち切ってよいとされています(出典: 国土交通省 建設業法施行規則 様式第二号 記載要領)。

Q6. 工事台帳(Excel)から工事経歴書を作れますか?

作れます。工事台帳の案件データを、元請・下請、完成・未成で区分し、請負代金の大きい順に並べ替えて様式第2号の列へ転記すれば作成できます。ただし件数が増えると税区分の混在や合計欄の不一致が起こりやすいため、業種・受注区分・税区分でデータを整理しておくことが実務上の要点になります。


工事台帳が、そのまま様式第2号の下地に。

工務店HUBは、見積・請求とつながった案件データがそのまま工事台帳になり、業種・受注区分で整理した状態を保てます。決算前後の書類づくりの手間を減らします。

初期費用¥30,000(税込)・月額¥4,980/名〜(1〜5名の場合。6名以上は¥2,980/名・いずれも税込)。料金・機能の詳細や無料での製品体験はお問い合わせからご案内しています。

工務店HUBの詳細を見る →

まずは自社の帳票のままお試しください。


関連記事

まずは無料で製品を体験してください

顧客・案件・見積・工程・原価管理まで、工務店業務の全15機能をオールインワン。月額2,980円(税込・6名以上)から。

関連記事